白内障
白内障とは
白内障とは、眼の中にある水晶体が濁ってしまう病気です。水晶体とは、カメラでいうところのレンズの役割を果たす器官です。光の通り道の水晶体が濁ってしまうと視界がぼやけたり、眩しく感じたり、視力が低下したりします。
白内障の原因
白内障の原因には様々なものがあります。加齢によるものが主で、60歳を過ぎたころから水晶体の混濁が目立ち始め80歳を過ぎた方ではほぼ全ての方に発症しています。加齢の他に糖尿病、薬剤によるもの、放射線によるもの、外傷、先天性のものなど様々なものがあります。
白内障手術
白内障は薬によって進行をある程度予防することができます。症状が進んでいる場合は濁った水晶体を除去する手術をすることでしか治す方法はありません。手術に掛かる時間はおよそ10分程度で、麻酔を行いますので痛みはほとんどありません。
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眼内レンズ
水晶体を除去するだけではピント調節ができなくなり見えにくいままです。眼内レンズとは、白内障により濁ってしまった水晶体の代わりに挿入する人工的なレンズです。眼内レンズにはいくつか種類がありそれぞれメリット・デメリットがあります。そのため患者様それぞれの術後のライフスタイルに合った眼内レンズを選択することをお勧め致します。
単焦点眼内レンズ(保険診療)
単焦点眼内レンズは、焦点が合う位置が1ヶ所の眼内レンズで、保険診療の適応となります。焦点を合わせた距離以外を見る時は、眼鏡をかける必要があります。例えば、普段の生活で読書や編み物など、近くを見ることが多い方は近くに焦点を合わせ、遠くを見るときは眼鏡をかけます。反対に、車の運転やスポーツを良くする方は、遠くに焦点を合わせ、近くを見るときに眼鏡をかけます。術後のライフスタイルを考慮し、医師にご希望をお伝えください。
多焦点眼内レンズ(選定療養、自費診療)
多焦点眼内レンズは、複数の焦点を持った眼内レンズです。遠方、近方の2ヵ所に焦点を持つ2焦点レンズ、遠方、中間、近方の3ヵ所に焦点を持つ3焦点レンズなどがあります。多焦点眼内レンズは、2つ以上の距離に焦点を合わせることができるため、眼鏡への依存度を減らすことができます。術後、できる限り眼鏡をかけたくないという方に最適なレンズで、白内障手術と同時に老眼の治療をすることができます。ただ、単焦点眼内レンズに比べて、見え方の鮮明度がやや劣ります。 また、レンズの特性上、夜間のハロー・グレア(光が滲んで見える現象)を感じやすくなります。
白内障手術の流れ
手術をする前にまず、数回の来院をしていただき様々な検査と医師の診察を行います。その後挿入する眼内レンズの度数などを決定し、詳しい説明を受けて手術を受けていただきます。
1.
診察・手術の予約・術前検査
白内障の手術にあたってまずは問診、検査、診察を行います。視力検査の結果や白内障の進行具合、他の眼の疾患が無いかどうかを確認し、眼の状態を踏まえて医師が手術が可能か判断します。また採血や挿入する眼内レンズの度数を決める検査や手術直前の詳しい説明などのために 、数回来院していただく必要があり、そのための予約をしていただきます。
2.
洗顔・消毒
手術準備室に入る前に目の周りや顔を拭き清潔にします。手術後の洗顔や洗髪などはいくつか生活上の注意点がありますので指示に従ってください。
3.
点眼麻酔
白内障の手術のための麻酔は、目薬をさす方法、前房内に注入する方法で行うため痛みの心配はほぼありません。手術の間はできるだけ目を動かさないようにしていただきます。
4.
前嚢切開
前嚢(ぜんのう)という水晶体を覆う袋の前面を丸く切開し穴を開けます。切開の幅2.5-3.0mmと小さく、ほとんど出血することはありませ ん。
5.
水晶体入荷吸引
前嚢切開をした部分に超音波が出る器具を挿入し、濁った水晶体を細かく砕きます。その砕かれた水晶体の吸引も同時に行います。
6.
眼内レンズ挿入
濁った水晶体を細かく砕きそれを吸引した後の部分に、眼内レンズを挿入します。眼内レンズは小さく折りたたんだ状態で挿入し、小さな切開面から入れた後広げます。

7.
術後健診
白内障の手術後は、手術の翌日、翌々日とご来院いただき検査や診察を受けていただきます。術後は1カ月ほど裸眼で過ごしていただき、必要があれば眼鏡を処方致します。術後3カ月ほどまで点眼薬を使用していただき、その後は数カ月に一度の定期健診にご来院いただくことで経過や新たな病気が無いかを健診致します。
白内障手術の費用
白内障手術は健康保険が適用となりますが、患者さまの症状により適応が変わりますので、お問い合わせください。保険適応の単焦点眼内レンズは、1割負担の場合17,000円ほど、3割負担の場合片目で51,000円ほどとなります。多焦点眼内レンズを使用する場合は支払い金額が異なります。詳しくはこちら。
後発白内障
後発白内障とは、白内障の手術をした後に眼内レンズを覆う水晶体嚢という透明な袋が濁ることをいいます。手術を受けた方なら誰にでも起こる可能性があり、手術後5年で約20-30%の方に発症します。後発白内障が発症して視力に影響がある場合は、濁っている水晶体嚢をYAGレーザーで切り取ることで治療することができます。5分ほどの痛みを伴わない治療です。