糖尿病網膜症

糖尿病網膜症とは

糖尿病網膜症は、糖尿病腎症、糖尿病神経症と並んで糖尿病の三大合併症といわれており、中でも網膜症は毎年3000人以上の方が失明している中途失明の原因第二位に分類される怖い病気です。血糖コントロールが良くても15年前後で網膜症を発症することがあり、糖尿病と診断されたら自覚症状がなくても定期的な眼底検査を受けることが大切です。

糖尿病網膜症の原因

長年の高血糖により網膜の毛細血管が障害され、小さな血管の瘤が出来たり、血管から血液が漏れて出血したり、血液中のたんぱく質や脂質が漏れ出してきます。初期には自覚症状はないまま病気が進行していることが多く、網膜のむくみや血管閉塞、網膜出血、硝子体出血、網膜剥離などを発症し視力が低下します。

糖尿病網膜症の段階

単純網膜症

網膜にある毛細血管が障害されると、血液中の成分が血管から漏れやすくなります。毛細血管瘤のこぶができ、血管からしみ出した血液が点状・斑状出血となり、血漿成分が網膜内に沈着する硬性白斑などが現れ、次第に網膜のむくみが生じてきます。物を見る中心部に病変がない場合には自覚症状はありません。

増殖前網膜症

毛細血管の閉塞をきたし網膜の神経細胞に栄養が行かなくなると、神経のむくみ(軟性白斑)、静脈の走行異常が起こってきます。慢性的な網膜の酸素不足は網膜新生血管の発育へとつながる危険な病態ですが、この段階においても中心部に病巣がない場合には自覚症状はありません。

増殖網膜症

虚血状態が続いた網膜から、酸素や栄養を送るために脆弱な新生血管が網膜表面や硝子体に伸びていきます。この新生血管はもろくて破れやすいので網膜出血や硝子体出血をきたします。さらに網膜上に膜状の増殖膜が形成されます。この線維性増殖組織の収縮が網膜への牽引となり、牽引性網膜剥離が発生します。

糖尿病網膜症の治療法

まずは血糖のコントロールを行って血液や血管の状態を改善することが基本となります。病状に応じて血管瘤や血液の無潅流領域に対して外来にてレーザーによる網膜光凝固を行いますが、病状が進行して硝子体出血や網膜剥離を起こしている場合には硝子体手術を行います。

糖尿病網膜症と言われたら

網膜症は徐々に進行しますが、注意しなければいけないのはかなり進行しても、視力の低下などの自覚症状がほとんどないということです。網膜症の進行に対して自覚症状がない場合が多いため、眼科での定期的な精密眼底検査が大変重要です。さらに、糖尿病そのものも自覚症状の少ない病気です。糖尿病を放置していると、ある日突然目が見えなくなった、目の前が真っ暗になったとあわてて病院に駆け込み、硝子体出血や網膜剥離と診断されることもあります。糖尿病と診断されたら、適切な治療を続けていくようにしましょう。また、検査・治療を続けていれば糖尿病が原因で失明することは防ぐことができるため、定期的に眼科検査を受けることをおすすめします。